The Apprentice LA

 一月も二週目に入り、テレビ番組も通常の編成に戻ってきた。ゴールデンタイムのドラマ番組は、みんなシーズン途中でクリスマス前に一休みしていたのが、徐々に再開している。Friday Night Lights、Boston Legalは今週から始まり、Prison Break、Heroesなどももうすぐ再開する。「24」シーズン6は来週から始まり、アメリカンアイドルも新シーズンの放送が始まる。
 ドナルドトランプの弟子の座を争うリアリティショー「アプレンティス」もLAに舞台を移してのシーズン6放送開始となった。「You’re Fired」が流行語となるくらいに話題となったこの番組も、マンネリ化して新鮮味を失ってきていた。Wikipediaには視聴率の変遷が出ていて、回を追うごとの人気低下がはっきり現れているが、英国をはじめ、世界各国で同じフォーマットの番組が制作されていたりして、影響力は大きいといえる。前にも書いたように、この番組はトランプ自身とスポンサーの大手企業のインフォマーシャル的要素が強いので、営業面の強みが番組の継続につながっている面は大きいことが想像できる。この後のシーズン7もすでに制作が決まっているとのことだ。
 今シーズンは、視聴率回復のために、いくつかのルールを変えて演出のフォーカスを変えることで、刺激を加味している。ロケ地をLAに移したことはまず一つ大きな変更点。それから勝者と敗者の待遇格差を拡大したこと。勝者は豪華マンションに滞在できるが、敗者は庭のテント暮らし。勝った方のプロジェクトマネージャーは翌週もプロジェクトマネージャーを続けることができ、敗者を決めるボードルームでトランプに助言を送ることができる。
 一週目の放送は、これらの変更点がうまく機能して目新しさを出していた。それに加えて、今シーズンから、これまで準レギュラーだったドナルドトランプの娘、イヴァンカがアドバイザーとしてレギュラー出演するようになった。彼女のキャラクターが番組の面白さをかなり盛り上げているところがあって、この辺りは演出の作戦が成功しているように見える。彼女が「トランプの娘」というポジションに期待されるところをよく理解しているのかそれとも素なのか、トランプや前任のキャロリン(先シーズン終了後、彼女自身トランプにクビにされて、今度はビルゲイツのリアリティーショーで雇われたそうだ)以上に激烈なコメントを加えて、いい味を出している。
 毎シーズン、挑戦者は多彩な顔ぶれである。弁護士、ネットベンチャーや不動産会社の経営者、コンサルタントなど、こんなところに出てこなくても十分成功しそうな人たちや、明らか自分のキャリアの歩を誤っていて、トランプの会社にはどう見ても合わなそうな人や、ここでみっともない負けっぷりをさらして、その後のキャリアは大丈夫なのかと心配してしまうような人たちが、毎度毎度懲りずによく出てくるものだと思う。挑戦者の素人さんたちの豊かなキャラクターも、この番組が続いている成功の要因の一つになっている。