本日のゲーミフィケーションUstイベントのお知らせなど

 ぼやぼやしていたら当日になってしまいましたが、本日1月25日19時より「ゲーミフィケーションパーティナイ」(ナイで止めてるのはワザとだそうですが)というUstイベントに出演します。

ゲーミフィケーションに関わる本の著者が一同に会す夜
ゲーミフィケーション・パーティナイ(Gamification Party Night)
http://www.s-dogs.jp/dgame/Event/radio01.html
主宰:Gamification Party Night実行委員会
日時:1月25日(水) 19:00~21:30
放送内容:
19:00~ オープニング・トーク
19:30~ プレゼンテーション「ゲーミフィケーションとは何か?」(井上明人)
20:00~ ディスカッション「ゲーミフィケーションを語りつくす!!」(藤本徹/井上明人/松井悠)
20:45~ ディベート「ゲスト vs Ustream視聴者」
21:20~ クロージング・トーク
ハッシュタグ:
#ゲーミフィケーション
Ustream中継:
http://p.tl/OcHT

 なお、時を同じくして、明日のクローズアップ現代でゲーミフィケーションが取り上げられるそうです。メディア批評家の濱野智史さんがコメンテーターとして出演されるそうです。
NHK「クローズアップ現代」(19時30分~19時56分):ゲームが未来を救う!?~広がるゲーミフィケーション~
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/yotei/index.cgi
 なお、濱野さんは先日朝日新聞で拙訳書の「幸せな未来は「ゲーム」が創る」の書評を書いていただいて、マクゴニガルの提示しているゲームを用いた社会変革のアプローチの意味をとても的確に論じていただいてます。出演後そのままこちらのUstの方に駆けつけてくれるそうなので楽しみです。
 先週のNHK「爆問学問」のシリアスゲームの回もありましたし、ゲーミフィケーションが業界向けだけでなく、一般メディアで取り上げられることが増えてきました。そんな中で「ゲーミフィケーション」という直球タイトルの著作を上梓される井上明人さんが語り、クローズアップ現代の放送も話題にしつつ、ゲーミフィケーションのあり方を語ろうというイベントに呼んでいただいたので、井上さんの応援ついでに参加してきます。
 ・・・と、そんなわけで、先週よりイベントの告知を始めていただいているのですが、思わぬ方からコメントをいただきました。
きょうの蜘蛛の糸メソッド(やまもといちろうBLOG)
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2012/01/post-dca5.html
 山本一郎さんのブログの長年のファンとして、拙著を誉めていただいたのはとても嬉しい限りなのですが、芥川の「蜘蛛の糸」の話になぞらえて苦言を呈されたところは、せっかく気に留めていただいたのにそういう印象を持たれてしまったのが残念でありました。
 このタイミングでこのイベントを入れるのは、井上さんの新著の出版プロモという位置づけ的には、やらない方が失策でしょうし、商業ベースに乗る際には多少売り文句的に出過ぎるところは避けられないでしょう。なので、今回は気になるところはあれ、こちらからの告知内容への注文は最低限にしました。でも、今回のような形で商業ベースに近いところでなんとなく露出すると、誤解を受けたくない人にまで誤解を招くんだなということを痛感します。
 なので大多数の人々にはどうでもよいことですが、おそらくこういうことを言及する機会もあまりないと思うので、ここでひっそり自分の立ち位置を説明しておきたいと思います。
 まず、そもそもなぜ僕がこういう場に駆り出されて話をするかというと、10年ほど前から米国を起点に広まった「シリアスゲーム」というゲーム産業を取り巻く新たな流れを日本に伝え、日本での状況を海外に伝えるという、つなぎ的な役回りをしばらく続けてきたことが、それなりに評価されているのだろうという理解をしています。
 拙著「シリアスゲーム」で、シリアスゲームという呼び方は過渡的なものであり、シリアスゲームの考え方や事例が普及すれば、わざわざシリアスゲームと呼ぶ必要はなくなるだろう、と述べました。その考えは今も変わっていなくて、シリアスゲームという呼び方自体が普及するかどうかは、基本的にはどうでもいいことで、ゲーミフィケーションの流れの中でシリアスゲーム的な「社会のためのゲーム」が息づいていくのであれば、それはそれでよいと思っています。
 海外で動いているシリアスゲームの流れと国内の状況はだいぶ異なるわけですが、ゲーミフィケーションがうまく流れに乗って広がってきたことで、ようやくここから新たな展開が見られそうだという期待が持てるようになってきました。
 セカンドライフブームの時は、何やら儲かりそうだとツバだけつけに来た人たちや、儲けたい人たちからうまく儲けようとする人たちですっかり埋め尽くされてしまい、実のある議論ができる人がいないうちに萎んでいってしまった感がありましたが、今回のゲーミフィケーションは語っている人たちの様子を見るとだいぶ印象が違います。
 ゲーミフィケーションがこれだけ注目を集めるようになると、あちこちでいろんな人がゲーミフィケーションについて語るようになります。僕も立場上、ゲーミフィケーションのあり方について論じてきましたが、シリアスゲームよりもゲーミフィケーションの方が概念的には広いので、教育研究者の立場では上手く語れない、語る興味のない領域もあります。深田さんが書かれた「ソーシャルゲームはなぜハマるのか」のようにマーケター向けのゲーミフィケーションの話は僕が書けるものでもないですし、書くべきものでもないと思います。国内でゲーミフィケーションがここまで注目されるに至ったのは、深田さんの功績によるところも大きいと思います。それに、ゲーミフィケーションを新しい社会システム構築の方法論というような位置づけで語るとすれば、鈴木謙介さんや濱野智史さんのような社会学系の論者の方たちに語ってもらう方が格段によい議論ができると思います。
 そして今回は、国内には数少ない生粋のゲーム研究者である井上明人さんが正面から「ゲーミフィケーション」を論じる著作を出して、学の立場でこの分野の専門家として前に踏み出すことになったわけで、とても喜ばしいことです。
 これからさらにこの分野でやっていこうという人が増えていけばと思いますが、僕自身は引き続き、ゲームの教育利用研究や社会的応用研究の領域からシリアスゲームの研究を続けていくつもりです。今までこの分野に本気で入ってくる研究者の層が超薄だったために、専門外の分野のことまでコメントを求められたり、わけのわからない依頼とかもまわってくることが多かったのですが、優秀な若手の人たちがそういうことを引き受けてうまくやってくれて、僕は自分の研究に集中できて、結果としてこの分野がさらに盛り上がっていけばよいなと願いつつ日々を送っています。
 やや取りとめない感じになりましたが、そんなところでしょうか。まあ、蜘蛛の糸にはみんなで仲良く、上手いことやってのぼってください、という感じです。
 そんなわけで、どんな風になるかわかりませんが、ご関心のある方はクローズアップ現代とともに、こちらのUstイベントもご覧いただければ幸いです。