Place to Pee: 公衆トイレで用足しながらプレイするゲーム

 シリアスゲームのMLに投稿されたニュースが面白かったのでご紹介。
Pub urinal computer games launched (News.com.au)
http://www.news.com.au/story/0,23599,23727859-13762,00.html
 リンク先のビデオ映像を見ていただくのが早いのだが、簡単に言うと、公衆トイレで用を足しながらプレイするコンピュータゲーム。ベルギーのブリュッセルで開発されたそうだ。
 仕組みは、公衆トイレの男性用小便器の前に立ったときの目の高さの位置にディスプレイが埋め込まれていて、そこにゲーム画面が表示される。便器の内側の左右にセンサーを埋め込んだ的を張り付けていて、その的を目がけて発射すると、目の前のゲームが連動して動作し、射撃ゲームや、スキーゲームをプレイできる。便器は二つ設置されていて、隣の人と対戦できる。屋外のお祭りの会場のようなところで設置されていて、ベルギービールをたっぷり飲んだ酔客たちがトイレでも娯楽を楽しめるようになっている。
 ブリュッセルの二人のエンジニアが酒を飲みながら思いついたゲームアイデアを形にしたそうだ。誰しも仲間と飲みながら話をしていて素面ではとても思いつかないような「素晴らしいアイデア」を思いつくことはあると思うが、ほとんどの人は実行には移さない。だが、このエンジニアたちは単に酒席の与太話に終わらせず、見事にアイデアを実現した。いかにもジョーク好きな酒飲みエンジニアが考えそうなしょーもないアイデアな感じもするが、この実行力は称賛に値する。
 一般に、男性用のトイレの周辺を清潔に保つための工夫はさまざま施されるが、これはむしろ逆の発想、というか何も考えてなさそう。酔客にそんなところで競わせたら、どんなことになるかは推してしかるべしという感じで、あまり詳細は想像したくない。このニュースでは女性は利用できないじゃないの、という話をしていたのだが、そこはさすがこんなものを開発したエンジニアたち、用意周到に女性用の紙で作った特製アダプターのようなものを用意したそうだ。利用したがる方も用意する方もやめとけという感じだが。
 このゲーム、ロイターで報道されたため、世界中のニュースブログで一斉に取り上げられている。だがよく見ると、実は昨年夏にはすでに前のバージョンが開発されていたようで、Engadgetで取り上げられていて、ゲームエキスポ会場のトイレに設置されたゲームが警察から使用禁止のお達しが出たということも報じられている(ソースは同じくEngadget)。
 くだらないと一蹴することは簡単だが、実はこのゲームにはいろいろな示唆が含まれている。このゲームの革新性は入力インターフェイスのデザインのユニークさにあって、その意味ではWiiリモートやバランスボードと同じ土俵にいる(ホントか?)。それにゲームのコンテンツは、ここではシューティングゲームやスキーゲーム、レーシングゲームが出ているが、入力方法とゲームのルールの組み合わせでゲームの内容自体はいかようにも工夫できる。それはWii Fitのミニゲームの多様さをみれば、同じ動きでいかに多様なゲームになるかがイメージできるだろう。必ずしも頭ごなしにお巡りさんがやってきて禁止してしまうような性質のものではなく、アイデア次第ではさまざまな用途に応用が可能だ。企画トレーニングの良いネタになると思う。