ギターヒーロー(音ゲー)

 日本では有名な音ゲー「ギターフリークス」の米国PS2版「ギターヒーロー」が今月リリースされた(レビューの日本語訳が出てた)。相当に人気を博しているようで、発売日には街のゲーム屋ではあっという間に完売。しばらくは品切れという状況が続いているが、メーカーのオンラインショップで買ったらすぐ届いた。このゲームは久々に個人的な楽しみのために買って、純粋にエンターテイメントとして遊んでいる。何が楽しいかというと、収録曲はロック系のヒット曲ばかりで、ハードロック・へビィメタル系の曲も豊富に入っていて。オジーやメガデス、クイーン、ボストン、といった古めのバンドの名曲から、最近の若いバンドのヒット曲までプレイできる。こういう選曲で売れるというのはさすがロックの国だ。
 このギターヒーローもそうだが、太鼓の達人もDDRも、その他音ゲー全般はいずれも音楽の文字通り、「音を楽しむ」ことをどんなツールよりも実現している。楽器を楽しめるようになるには、ある程度の練習が必要で、自分の弾きたい曲を思うように弾けるようになるにはさらに練習しないといけない。カラオケでも自分の歌唱力が制約になって、難しい曲では気持ちよくならなかったりするが、このゲームはリズムにあわせて正確に操作すれば、いい音でフィードバックされるので、とても心地がよい。音ゲーはそうした楽器のスキルの部分をカットして、リズムの部分だけに焦点を当てることで、その楽器の楽しさ、演奏する気分を味あわせてくれる。これほどの音楽への導入ツールは存在しないと言ってよいと思う。ギターヒーローが上手になったからといって、ギターが弾けるようになるわけではないけれど、ギターを弾く楽しみの一部分は十分に味わえる。その楽しさがきっかけで、本物のギターを弾きたくなる人や、出てくるバンドの曲をさらに聴いてみようという人も少なくないはずだ。
 実際、先日Mixiで音ゲープレイヤーとリアルのドラマーに「音ゲーで楽器のスキルが身につきますか?」と質問を投げてみたところ、たいへんに面白い反応があった。高度なスキルは身につかないけど、リズムパターンの習得や興味をわかせるための導入として有効な一方で、セッティングが違うことや受身にリズムを刻むことのデメリットがあるようだということがわかった。ドラマーとしての経験があってドラムマニア未経験の人は、概してうまくプレイできなくて、自分への期待と結果のギャップにフラストレーションを感じる人は多いようで、経験あるドラマーほど「こんなのはドラムではない」という印象を持つようである。ゲームでの興味が高じて本物のドラムを始めた人も少なからずいた。音ゲー好きが高じて、音楽キャリアに進んだ人もいた。学校の音楽教育が子ども達に何の影響も与えないばかりか、逆に音楽嫌いを生むような機能不全な状況にある中、音ゲーはインフォーマルな音楽教育ツールとして機能している側面があることが見えてくる。ではこれを意図的に音楽教育の中に取り入れるとしたらどんなことになるだろうか、というのはとても楽しい研究テーマだ。もはやたかがゲームではなくて、個別学習支援ツールとしての機能は、ゲームとして扱うだけではもったいないクオリティである。技術は普及レベルでそこにあるので、あとは目先を変えた用途開発だけで、かなりすごいことができると思う。

ギターヒーロー(音ゲー)」への4件のフィードバック

  1. ご無沙汰してます~
    オジー、メガデス、クイーン・・・・きゃー。
    音楽ファンを喜びますね~。ゲーム好きじゃなくても、そのての音楽好きな人にはたまらないかも・・・。
    ちなみに前にも言ったと思いますが、私はドラム歴8年で、太鼓の達人があまり好きではありません。まさにおっしゃるとおりで「経験あるドラマーほど「こんなのはドラムではない」という印象を持つようである」なのです。
    まあ、楽しいからいんですけど、クラスメイトのヘビーゲーマー(ドラム歴なし)と勝負してまけたので(笑)嫌だなぁと。
    クリスマスを前にテレビとかで「今年人気のゲーム」とよく紹介されてますが、やはりDDRやアイトイは未だに人気健在ですねー。
    余談ですが、私が最近欲しいゲームはアクティビジョンからでている「ザ・ムービー」という映画監督のSimみたなものだそうです。
    http://www.activision.com/en_US/game_specific/481ff156-569c-44bb-a5ff-f9b951ead4c9.html
    でも、前に買ったLow & order のゲーム(テレビっ子なので)をまだ終わらせてないので、新しいゲームは我慢です。

  2. > 余談ですが、私が最近欲しいゲームはアクティビジョンからでている「ザ・ムービー」という映画監督のSimみたなものだそうです。
    あ、それぼくもほしいです。買ったらどんなか教えてくださいね。

  3. 東大の星野です。こちらでははじめまして、かもしれません。いつもお世話になってます。
    ギターヒーローはEyeToy: AntiGrav、カラオケレボリューションのHarmonixs開発なのでコナミのギターフリークスとは別物なんじゃないかと思ってたんですが、実際どうなんでしょうね…オンラインの友人達も大プッシュしていて、「ぜひギターコントローラーが2本ついたバージョンを買うべきた!」といってました。
    The Moviesは先日輸入しました。そのうち完全日本語版もでるようです。基本は映画業界版シムズで、そこにカスタム映画作成機能がついてるという感じです。チュートリアルはしっかりしてますが、自分で映画とるとなるとまだ複雑すぎです。サイトにあがってるような映画取れる日は遠い…なお、自分で0から振り付けというのではなく、すでに用意されたシーンから選んで作成します。

  4. > コナミのギターフリークスとは別物なんじゃないかと思ってたんですが、実際どうなんでしょうね
    ぼくがギターフリークスやったのはだいぶ初期のバージョンだし、
    細かくみれば違うのかもしれませんが、基本的なところは同じです。
    二人プレイはみんなでやるには最適なので、コントローラは二台あると楽しいのは間違いないです。
    > The Moviesは先日輸入しました。
    おーさすがですね。10年ほど前にスピルバーグの撮った映像を
    編集して映画を作るディレクターズカットというゲームが
    ありましたが、それに近いのかもしれませんね。
    今度買ってやってみます。

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